シェフのお料理コラム ~Pâté en croûte~

皆様こんにちは。
Cellar Door Aoyamaのシェフ 緒方です。


さて今回は、パテ・アン・クルートのお話です。フランス料理史上でも、最高難易度の料理のひとつと言われる存在。パイ生地にひき肉をつめて焼くだけ――と思われがちですが、温度管理、火入れ、構造、そして完成までの段取り、そのすべてがシビア。高度な技術が求められ、少しのズレが味も形も台無しにしてしまいます。
「こんな料理は他にない」
そう断言できる料理です。

まず必要になるのは、3つの専門的な技術の習得です。
ファルス(詰め物)はシャルキュティエの仕事
パイ生地はパティシエ、
そしてコンソメの要である、フォン(出汁)やジュ(肉汁)は料理人の技術が求められます。

それぞれが独立した専門分野であり、
どれかひとつ欠けても成立しません。

仕込みだけで10時間以上。
完成までに2週間ほどかかることもあり、
まさに気の遠くなるような工程の積み重ねです。

Cellar Door Aoyamaのパテ・アン・クルートは、
およそ1週間に一度の周期で焼成しています。

パテという料理の特性上、
日を追うごとに味わいが変化していくのも、この料理の面白さのひとつです。

1〜3日目は、パイ生地のザクザクとした食感と、ファルスのフレッシュな味わいを。
4〜6日目になると、ファルスが次第に馴染み、全体に一体感が生まれてきます。

当店のこだわりは、やはり生地でしょうか。
VSOPのコニャックを贅沢に使い、バターもたっぷりと使用。
香り高く、リッチな生地に仕上げています。

また、焼成時にはしっかりと高温で焼き切ることで、
よりザクザクとした食感を目指しています。

ファルスは、季節によって内容を変えています。
現在は鴨やホロホロ鳥をベースに、フォアグラを中心とした構成。

時期によっては、ジビエや豚、トリュフを使うこともあり、
組み合わせ次第でまったく違う表情を見せてくれます。

使える食材の幅が広く、なおかつそれぞれの個性を受け止められる
そんな懐の深さも、パテ・アン・クルートという料理の面白さのひとつだと感じています。

日々味わいを深めていく、
Cellar Door Aoyamaのパテ・アン・クルート。
時間とともに変化する味わいを、ぜひご堪能ください。

コメントを残す

コメントは承認され次第、表示されます。